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お世話になっております。
ユニークワークス上田です。
先週お伝えした自転車青切符が導入されました。
皆様の周囲でも、朝の通勤・通学時間帯に警察官に止められている自転車を見かける機会が増えたのではないでしょうか。
テレビやネットニュースで数ヶ月前から「4月から罰金が科される」とあれだけ大々的に報じられていたにもかかわらず、導入初日から全国各地で大量の摘発が相次ぐ事態となっています。なぜ、「知っているはず」なのに彼らは捕まってしまうのでしょうか?
多くの場合、「ながらスマホ」や「一時不停止」、「信号無視」で切符を切られています。
少し注意を払えば、少し周囲を見渡せば防げるはずの違反ばかりです。
ここから見えてくるのは、現代社会に蔓延する深刻な「認知的負荷への過敏化」です。
四六時中スマートフォンに依存し、画面の中の受動的な情報ばかりを処理し続けた結果、目の前の現実世界に対する「状況把握力」が著しく低下してしまっています。
「ここで止まらなければ事故になるかもしれない」「この交差点には警察がいるかもしれない」「ルールが変わったのだから、自分の行動を変えなければならない」
こういった、状況を俯瞰し、未来を予測し、自分の行動を制御するという「能動的な情報処理力」が低下している方の比率が、私たちが想像している以上に高くなっています。
組織や社会の構造を示す言葉に「2:6:2の法則」があります。
上位2割が自律的に適応し、6割が周囲を見て追従し、下位2割はどうしても適応が遅れる(適応できない)というものです。
これを東京圏の巨大な人口規模(約3,000万人)に当てはめてみてください。
下位の層(全体の15〜20%)、すなわち約450万人から600万人規模という途方もない数の人々が「テレビで見てルール自体は知っていても、複雑な道路状況の中でとっさに判断し、自分の行動を制御してルールを守り切ることが構造的に難しい」というシビアな現実があります。
人間の認知や判断力には、どうしてもグラデーションが存在するのです。
スマホへの過度な依存による「認知負荷の蓄積」は、ただでさえ差のある人間の「状況判断力」をさらに鈍らせ、結果としてこれだけの大規模な摘発に繋がっていると言えます。
しかし、この「認知負荷の蓄積」の問題は、違反する側だけのものではありません。
ルールを作り、取り締まる側の行政や警察にも同じことが言えます。
今回の青切符導入において、現場ではおかしな矛盾が起きています。
例えば、道幅の狭い道路で自転車が「ルール通り」に左側を走っていると、後ろのトラックは安全な間隔が確保できず追い越せません。
結果として、自転車を先頭にした大渋滞が発生しています。
あまりの渋滞に見かねた後続のパトカーが、スピーカーで「トラックの運転手さん、もう抜いてしまってください(違反にしませんので)」と、超法規的な指示を出すという本末転倒な事態まで起きています。
「このルールを厳格に施行したら、インフラの整っていない現場でどんな影響があるのか?」
本来であれば事前にシミュレーションし、インフラ整備などの現場の実態に即した対策を整えておくべきです。
それらを考え抜くことなく、「ルールだから」と思考停止で走り出してしまった結果が、この現場の混乱を招いているのです。
人間がスマホに依存し認知負荷が蓄積されているその対極で、システムやテクノロジーは日々ものすごいスピードで進化を遂げています。
AIの進化はもちろんのこと、今や店舗や街中にカメラを設置してAIと繋ぐだけで、道行く人々の行動や属性、定着率までもが瞬時にデータ化され、分析される時代です。
私たちが無自覚にスマホを眺め、漫然と街を歩いているその瞬間も、システムは私たちの一挙手一投足を冷静にトラッキングし、学習し続けているのです。
テクノロジーを自らの頭で考え「活用する側」と、受動的にシステムに「データとして活用される側」。
この残酷なまでの二極化と溝は、今後ますます深まっていくことでしょう。
そして、ここからが最も重要なポイントです。
先ほど触れた「2:6:2の法則」における適応に時間を要する層、東京圏だけで450万人以上という巨大な分母を持つ方々は、決して私たちと無関係ではありません。
むしろ、私たちの主戦場である「パチンコ店」というエンターテインメント空間には、日々の複雑な情報処理から解放され、シンプルに楽しみたいと願う「UXの簡潔さを求めるユーザー層」が多く来店してくださっているという確かな事実があります。
これをビジネスの視点で捉え直せば、これからの「繁盛店の条件」が明確に見えてきます。
それは、認知的負荷の軽減を無意識に求めているユーザー層に対して、頭を使わせるような難しい販促やルールを決して押し付けないことです。
裏側では、経営陣である私たちがAIや顔認証カメラといった最新のシステムをフル活用し、高度なデータ分析と戦略を練り上げる。
しかし、表側(顧客接点)では、ユーザーが何も考えなくても直感的に理解でき、本能的に楽しめる「圧倒的に分かりやすい販促活動と店舗体験」を提供する。
考えなくても直感的に楽しめる体験を本質的に求めているこのユーザー層の行動特性やグラデーションを深く理解し、彼らに寄り添った分かりやすい最適解を提供し続けることこそが、テクノロジーを「活用する側」が取るべき最強の生存戦略なのです。
街角で笛を吹かれる自転車や、渋滞に巻き込まれるトラックを見かけたら、ぜひ一度立ち止まって考えてみてください。
「私たちは今、本当に自分の頭で考え、システムを活用する側に立てているだろうか?」
「お客様に、無意識のうちに複雑な認知負荷を求めてしまっていないだろうか?」
時代背景とこれらの影響を自分主体ではなく、社会主体に捉えて行動を決定する。情報の使い方と行動、システムに使われることなく活用する側として進んでいけたらと思います。
よろしくお願いいたします。